『変身』カフカ_0014
※ネタバレになるよ(古典だからネタバレもなにも…と思う人は読んで)
どうも感想がまとまらない。
まとまらないので、読んだ流れのままに文章を書いていこうと思う。
またどこかのタイミングで読み返したくなる本だった。
■読みはじめ
目覚めると「巨大な褐色の虫」になっていました。
そんなまさか。転生もののラノベでは目覚めると美少女やら赤ん坊やらになっているものだが。仮にそうではなかったとしても、ぼくが物語を書くとしたら、そんな設定じゃ始めない。
「巨大な褐色の虫」 になったところから初めたそれは、物語として成り立つのだろうか?
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■中間
虫になってしまった主人公グレーゴルは、作中で常に何かを考えている。
これは夢ではないのか?
虫になったいう事がばれないようにするためには?
仕事はどうする?
家族はどうなる?
この虫であることで家族が不安がることを最小限にするためには?
何かにつけて考え続ける彼の頭の中を覗けるぼくから見れば、彼はまともな人間(虫)なのでは?と思ってしまう。ただ、外観は恐ろしい「巨大な褐色の虫」なのだ。それ故の悩みもあるが、それまでの生活で見てこなかった問題が顕在化(金銭の問題など)しているという点が面白い。
虫になってやっと考えられるというか、見えてくることもあるのかと。
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■終盤
グレーゴルは虫になってしまったのか。思考がその体をもとにして巡っている。
壁を自由に這い回れるように、家具の撤去を望んでみた端から、自分自身の思考が虫のそれに変わっていっていることに気づき狼狽する。その瞬間は大変恐ろしいことだとぼくは感じたが、その思考すらも続きはしなかったようだ。
そして、空腹のままに思考も削がれていく。その流れの中にありながら悲壮感がないのが気になる。
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■読み終えて
『自分が消えてなくならなければならないということにたいする彼自身の意見は、妹の似たような意見よりもひょっとするともっともっと強ものだったのだ』の一文が書きたかったがゆえの物語なのではなかったのか、と思った。
自分の死によって、大切な家族が幸せになるという物語を書きたかったのではないか。
そのために、グレーゴルは「巨大な褐色の虫」にならなければならなかった。
そんな風に考えて、それでも分解しきれないもやもやがある。
もう一度、違ったタイミングで読み直してみたいと思った。
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